ライディンググローブが安全な理由とは?-ラクチンなだけじゃない! 専用グローブに盛り込まれた安全装備について-
Jan 20, 2022
世の中にはさまざまな種類のグローブがあります。一般の方がパッと思いつくのは、野球用のグローブやボクシング用のグローブあたりでしょうか。でも長年のライダーであれば、「いやいや、バイク用のグローブが一番身近でしょ!」となるかもしれません。
ライダーにとってグローブがとても大切なアイテムだということは、これまでのブログでお話しした通りです。ライディング専用グローブの快適性や防寒性……装着するとしないとでは疲労度がまったく違う、ということもお分かりいただけたと思います。
でもライディング専用グローブのメリットはこれだけではありません。今回は、万一の転倒時のフィジカルの保護や、事故を未然に防ぐための安全装備について解説したいと思います!
転倒のダメージから手を守る“プロテクター”とは?
手には表と裏、「手のひら」と「甲」の部分があります。それらふたつの部分を転倒時の衝撃から守るのがプロテクターの役目となります。
自分の体重(自重)のみならず、転倒時のさまざまな運動エネルギーを受け止めざるをえない手のグローブには、想像を絶するほど大きなパワーが加わることをイメージしてみましょう。
転倒時の自重による一次衝撃に始まり、スピードによる加熱・擦過、路面抵抗による引き裂き、異物による不意のダメージ……いかがでしょうか? ちょっと考えただけでも、グローブに備わるプロテクターの重要性がお分かりいただけるかもしれません。プロテクターは第一に、衝撃吸収パッドとしての役割を担っているのです。
緩衝材・プロテクターの素材(カーボン、プラスチック、ジェルなど)
プロテクターの配置
プロテクターは種類も機能もさまざま
そんなプロテクターには大きく「ハード」と「ソフト」の2種類があります。
絶対的な頑丈さで言えばカーボンやプラスチックなどを使用したハードタイプのプロテクション機能が優っていますが、柔らかさによる快適な操作性という点ではソフトタイプに大きなメリットがあります。それぞれの素材の適性と使い勝手を、事前の装着テストや走行実験などを通じてしっかり見極めていきます。そして最終的に、グローブの設計やデザインに落とし込んでいく、というわけです。
そんなプロテクター類をグローブのどの部分に配置するか、というのが製品づくりの際にとても重要になります。転倒時にはライダー自身の姿勢/体勢を安定させるために、反射的に手のひらを地面につけることが過去のデータからも明らかになっています。
スピードをともなう走行中の転倒では、手のひらを地面に押しつけて“減速”する必要に迫られます。できることなら一生使いたくない“手のひらブレーキ”ですが、万一の際は致し方ありません。そんな時に威力を発揮してくれるのが、レザーという素材です。引き裂き強度が他のテキスタイルに比べて抜群にタフですので、手のひらパートに用いることでその長所をしっかりと受け取ることができます。
見えにくいライダーをリフレクターで光らせる
idealのグローブの一部では、甲の部分以外で大きなストレスがかかりがちな手のひらの内側にもプロテクターを設けているモデルがあります。さらに小指の側面にリフレクターをレイアウトすることで、被視認性を向上させているモデルがあるのをご存知でしょうか?
暗闇でキラリと光るリフレクターは、本革製以外のidealグローブすべてで標準採用されています。夜間走行中のライダーの“側方からの視認性の悪さ”は、二輪業界で以前から指摘されている安全上のウィークポイントのひとつです。大柄なクルマやトラックの車群にまぎれて、「横から見えにくい!」と感じたこと、ありますよね? その弱点を解消するアイデアが「小指側面リフレクター」です。
idealは、事故を未然に防ぐための「アクティブセーフティ」(事故を未然に防ぐ)が小指側面リフレクターであり、事故を遭ってしまったときのリスクを軽減する「パッシブセーフティ」(事故のリスクを軽減)が、適材適所でレイアウトされる種々のプロテクター類だと考えています。
安全機能へのこだわりはライダー次第
では実際にどのタイプのグローブを選べばいいのか、どのくらいプロテクション性能にこだわればいいのか、ということに関しては、ライダーのみなさんの走り方やシチュエーション、価値観によるところが大きいと思います。
クローズドコースを思いっきり攻めるライダーがいれば、ファッションやスタイリングとの整合感を大切にするライダーもいます。寒いエリア、暑いエリア、愛車のフォルム、コストパフォーマンスなど、さまざまなファクターが重なり合いますので、それぞれのニーズと気持ちにぴったりと合ったライディンググローブを自分のセンスで選んでくださいね。
そうそう。最後に。
すべてのグローブは消耗品です。もし生地が擦れて破けてきたり、縫製がほつれてしまったり、ベルクロがボサボサになって密着度が下がってしまったり……そんな疲れが見えたらそろそろ買い替え時期かもしれません。新しいグローブといっしょに、安全装備もリニューアルしてください!