雨に負けない!レイングローブの秘密を探ろう
May 30, 2022
ツーリングや通勤での頼もしい味方・レイングローブの仕組みとは?
ニッポンの夏! ……が来る前の、どうしても避けられないあのブルーなシーズン「梅雨」がやってきます。しかし高機能なレイングローブを装着することで、ライダーの手もとは格段に快適になりますよ! 今回は意外と知らないレイングローブの“中身”がテーマです。
タフなレイングローブが必要とされている
世の中にはさまざまな手袋やグローブがありますが、求められる性能<タフネスさ>についてフォーカスすれば、バイク用グローブへの機能的要求度はもっとも高い部類と言えるでしょう。そのことについては、過去のブログでもたびたび採り上げてきました。
転倒時のケガを防ぐこと、運転時の疲労を軽くすること、防寒対策などなど……。そして今回は、雨天時に特化したライディンググローブ<レイングローブ>について、ハードウェア側からアプローチします。
究極の耐候性を持つレイングローブ
雨によってライダーの手もとの操作が影響を受ける──では具体的に、どんなことがあるでしょうか? 大きくは2つ。スロットルを握るグリップ力と、左右の金属レバーそのものの滑りやすさです。そのことで失われる走行のスムーズさと安全性については、一度でもその怖さを経験したライダーならきっと分かると思います。
それらのネガを事前にしっかり封じ込めておくため、の具体的な“対策”が施されているライディングギアがレイン専用グローブです。
idealの最新レイングローブは“オールウェザー”で活躍する!
ID-016 リジェクト H2O
今季デビューしたばかりのideal初、高機能レイングローブ「ID-016/リジェクトH2O」は、全天候型のオールウェザーグローブ≒多機能グローブです。レインコンディションをはじめとした耐候性の高さはもちろんのこと、idealシリーズに共通するスムーズかつ快適な装着感はこのレイングローブでもしっかりと味わうことができます。
ストレッチ性のある防水・防湿・透湿フィルム「skin fit」を使用した3レイヤー構造をはじめ、ハンドルグリップを握り込んだ際のフォルム(形状)を想定した裁断とレイアウトにより、ごわつきなどの不快感を最大限に軽減。通常走行でも快適なフィーリングを体感できるでしょう。
さらに甲側にはインナータイプのハードプロテクターを、手のひら側にもウレタンパッドを装備させることで、快適性と安全性を両立させている点も“死角なし”で頼もしいですね。
ひとつのグローブであらゆるシチュエーションに立ち向かおうと思っている欲張りライダーにも、リジェクトH2Oは直球チョイスとなります。
リジェクトH2Oに盛り込まれた雨対策のための仕組みをいくつかピックアップし、もう少し詳しく見ていきましょう!
人差し指と中指の先端には、雨天走行時でのレバーアクションを確実なグリップ力で支える「滑り止め加工」を採用。もちろんベース素材自体も滑りにくいものを使用しています。
細かなアクションがわずらわしくなる雨天時でもスピーディに着脱できるように、キャッチがしやすい「太幅タイプのベルト」を採用しています。
左手人差し指のサイドに装着されているお役立ちファンクション、「スクリーンワイパー」。シールドスクリーンに付着した水滴をワンアクションでワイプできます。
防水・防風・透湿フィルム「skin fit」の3レイヤー構造のイメージイラストです。防水・透湿という一見相反する機能を高度に両立させることで、過酷なレインコンディションを乗り切ることができます。最先端のテキスタイルですね。
「水はどのくらい中に入ってくるのかな?」
シンプルな疑問への答えが知りたくて、ちょっと実験。レイングローブを装着したまま水槽にためた水につっこんでみました。
1分経過、2分経過、そして……5分が経過。グローブを水から引き上げてみると……まったく濡れていません! もちろん雨天走行時のコンディションを再現できたわけではありませんが、ちょっと感動。
ちょっとオマケ。「体感温度」を考えてみよう!
手が冷えやすい雨天時のライディング。生地が濡れることでグローブ自体の温度が下がってしまうことがしばしば起こります。そのことがスロットルワークやブレーキング、クラッチ操作などのアクションの悪化/鈍化を招いてしまうのです。
大なり小なり走行風を受けるライディンググローブ。では走行中のライダーが実際に感じる「風速」はいったいどのくらいなのか? それを計算する式がこちら<時速風速換算式>です。
風速(m/秒)= 時速(km/h)÷3.6
この式をもとに計算すると、時速80kmで走行するライダーが受ける風速は約22mということになります。
さらに「体感温度」を測定するためには風速、湿度、現在の気温の3つの数字を、ある計算式<ミスナールの計算式>にあてはめなければなりません。それによって求められた温度が体感温度です。
気温7℃、湿度30%という条件下において、時速80kmで走るライダーの体感温度は「約マイナス7.2℃」となります。
算出されたこれらの温度(晴天時)から、雨天時にグローブが濡れることによって奪われる「気化熱」をさらに差し引くと……いかにレイングローブ(とライダーの身体)が過酷な環境にさらされていることが分かっていただけるかと思います。
そう。レイングローブ、大事なんです!
レイングローブで走りの自由を手に入れよう!
最先端を行くレイングローブの仕組みをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか? 梅雨のシーズンに限らず、雨だけは世界中どこにいても避けがたく遭遇してしまうバッドコンディションです。
もちろんレイングローブとて、雨水の侵入を完全にブロックしてくれるわけではありません。しかしやはり、“あるとない”では大きな差があります。備えあれば憂いなしのことわざのままに、雨が降ってきても「はいはい、カッパも着ちゃうしグローブも替えちゃうよー」くらいの平常心で乗り切りたいものですね。やまない雨はないですから!
次回のテーマは「夏」。灼熱シーズンにピッタリな「サマーグローブ」についてお送りいたします。「ここ日本を快適に走るには春か秋がいいね」というライダーにも、「暑い夏でもけっこう快適かも!」と言わせてしまう、そんな軽快サマーグローブを提案します。